与那国島のケイビングツアーを受けて、ケイビングツアーを行うガイドとして決して他人事ではなく
重く受け止め、西表島の洞窟ツアーでも事故を未然に防ぐため、改めて中止基準の見直しや、安全基準、危険箇所の確認など、納得がいくまでセーフティーリサーチをして参りました。
今回はその記録になります。

西表島の洞窟での安全確認作業

まずはユツン洞窟から安全確認作業、中止基準の見直しのためのデータをとってきました。

この写真はユツン洞窟の入り口です。水流のある入り口は、1時間に10mm~20mmを超えるような雨が
続くようであれば水没する可能性があり通過困難になる可能性があるので、強い雨が予測される場合は、
出口または入り口として使用しない。

通常の入り口に関しては、水脈から役120センチ以上高い位置にありここが水没することは、現実的に考えにくいですが、1時間に20mm~30mmを超えるような雨が続くと予想される場合や、ツアー当日より10日前まで雨が続いており、山に水が溜まっている可能性がある場合は、中止の検討またはコースの変更を視野に入れながら現場にてガイドの的確な判断が必要になります。


西表島ユツン洞窟の水脈の入り口(出口)から2、3メートルのところです。この写真の状況ではケイビング経験者であれば容易に進んで行けるレベルでコースとしては面白いところではありますが、増水時は水没するので特に注意が必要です。

特に出口として使用する場合は、水没して通れない時のエスケープルートを把握しておく必要があります。
またゲストが何かしらの要因でこの場所で動けなくなってしまった場合、外に出すまでに時間を有し、冬場は低体温症のリスクもあります。
雨が続き、徐々に水位が上がってる状況下で出口または入り口として利用する場合は、かなりのリスクを要するので、ゲストの体力、経験、人数などを考慮した上で、現場でのガイドの的確な判断が必要です。

また高潮と台風が重なると確実に海水が入ってきて水没するエリアです。
台風、大雨警報が出された場合は問答無用で中止になります。


ここはユツン洞窟の入り口から少し進んだポイントになりますが、水流のあるコースでは鍾乳石が発達しておらず、若干つらら(鍾乳石)も折れた形跡があるので台風時にここまで海水が来ていることが想像できます。
しかし通常の上の道では綺麗な鍾乳石(つらら)が沢山形成されており、何百年もの間水流が来てないことがわかります。
天変地異や、災害、1000年に一度の大雨など来ない限り上のコースが水没することは考えずらいですが、
自然界に絶対安心ということはないということを頭に置きながら、考えられるリスクを一つ一つ洗い出して行きといと思います。


ここはユツン洞窟のドームになっているエリアで高台になっており、セーフティーゾーンになります。
ここにはNGSR(ネイチャーガイドセーフティーリサーチ)による緊急時のエマージェンシーボックスも設置しております。
またなにかしらの要因で出入り口が塞がった場合や、ゲストを出口まで連れていくのが困難な場合は、
上の穴が地上と繋がっており、ロープシステムによって引き上げも可能です。

こちらが地上から見た穴です。NGSRのメンバーで洞窟に入る時間、出る時間を随時共有しており、
出洞時間になって1時間以上連絡がつかない場合は、すぐに対応できるよう体制を整えています。

こちらは緊急時のNGSRのメンバーにて設置して頂いたエマージュンシーボックスです。予備ライトや電池、携帯トイレ、非常食、予備水など
が入っています。緊急時はどなたでも使用可能です。


危険箇所のリストアップ。こちらはユツン洞窟のコース内ですが、崩落の危険がある岩です。
できる限り負荷を与えない、地震が予想されるまたは続いている場合は速やかにこの場から離れる。

洞窟全体に地図、マップもありますが、ここでの公開は控えさせて頂きます。

ここはユツン洞窟通常コースの出口(入り口)です。水流から出口までは約25メートルあります。
大雨が降り増水した場合は、プチ滝ができ、何かしらの要因で鉄砲水もくる可能性があるので注意が必要です。
ユツンコースの目玉の場所の一つとも言えますが、大雨が続く場合はコース変更または出来るだけ水に干渉しないようなコース選びが必要になります。現場でのガイドの的確な判断が求めらる場所です。

今後大雨によりどのような影響が出るか、継続的に調査をしデータを集めて参りたいと思います。

クーラ洞窟の調査

こちらはクーラ洞窟3番目の出口(入り口)ですが大雨が続くと水で完全に水没します。
警報が出た場合は中止になりますが、大雨が続く場合または予想される場合は注意が必要です。
万が一この場所で鉄砲水が来た場合は逃げ場所がないので、重大な事故に繋がる可能性があります。

大雨により河川の氾濫が続き、大雨により洞窟付近の山林部に水が溜まっている場合は特に注意が必要です。

クーラ洞窟に関してはトンネルのような洞窟が3つあり、洞窟の距離も短く二番目までは容易に地上に出ることができます。
増水時は無理をせず三番目の洞窟はいかずエスケープルートで地上から帰る必要があります。


ここは一番目のクーラ洞窟の入り口なりますが、水流の矢印の岩の上の部分に水が当たっていると確実に三番目の洞窟は水没している可能性があります。


この岩の上に水がかかると三番目の洞窟も水没する可能性があります。
中止基準となる目安を作っておくことで最悪な事態に追い込まれるリスクを減らして行きます。

ここま確実な正確性はないので何度も足を運びデータをとって行きたいと思います。

緊急時に森の入り口から三番目の洞窟まで迷わずすぐに行けるようにピンクテープを設置致しました。
思わぬ増水により、三番目には行かず引き返す時にも迷わず森の外まで戻ことが可能です。

最後に

自然を相手にすることなので100パーセント安心ということはないですが、できる限りのリスクと向き合い、
定期的なフィールド調査やメンテナンス、装備の確認など続けて参りたいと思います。
(鍛錬に終わりなし)仲間の合言葉と共に今後も活動続けて参りたいと思います。
引き続きよろしくお願いします。