今回は八重山ケイビングガイド協会の講習会に行ってきた時の記録です。


座学

1日目の座学では、洞窟の基本的な知識や成り立ち、形成、二次生物なのどを学び、
ケイビングガイドの必要性など深く考えさせられました。

午後からはツアーを行う上で一番重要で耳が痛くなるリスクマネジメントについて
みっちり学びました。

主にツアーの企画運営についてまず何をしなければならないのか、ガイドとしてのスキルと経験は何か?
危機管理、引率ガイドに求められるものは何か?
など細かいところまで深掘りして頂き、早速取り組まないといけないことや課題が見えてきました。

特にツアー運営を行う上で事故を未然に防ぐにはどうしたら良いのか、事故を起こしてしまった後の責任や行動は何か、事故後にツアー運営をするにはどうしたら良いのか、目を背けたくなることばかりですが、リスクと向き合うことの重要性を学び身が引き締まる思いです。

今回の講習の講師はあの海歩人の中川さんで、長年に渡りアウトドアツアーガイド業に携わってきた方なので
かなりリアルなお話を聞くことができました。

1日目からとても濃く有益なお話を聞くことができて講習を受けて本当に良かったと1日目にして既に実感することができました。

石垣島にて実践洞窟

二日目は実際に石垣島の洞窟に行ってツアー形式での実践体験を行いました。
午前中は横穴に行きましたが、人生で味わったことない規模の洞窟で、初めての行く洞窟ということもあり
純粋にワクワクとドキドキが止まりませんでした。

やはり実際に現場で見て説明を受けることで、より深く洞窟のことが理解することができました。
まさに目からウロコなことが連発で島の見え方すら変わってしまうような衝撃的な内容でした。


午後からは竪穴の洞窟に行きハーネスやロープを使い洞窟内にアプローチ。
洞窟内に入るとそこからは研修生だけで出口を探すという訓練が行われ、
教わったヒントを頼りに皆で協力してなんとか出口にたどり着くことができました。

まるで本当の探検をしているみたいで仲間と協力して出口を探す時間はかけがえの無いものだなぁと実感しました。

中川さんがツアーにするまでに7年近くかけて開拓した洞窟を体験することができたのは本当に贅沢な
時間でした。ただそれを見たからにはより頑張らなければならないなぁと思います。

二日目にしてこのボリュームと内容、本当に有益すぎる講習の連続です。

実践洞窟を終えて船で西表島に帰るとき、ずっと不思議な高揚感と胸の高まりは収まらず、なぜか
無敵感すら感じます。ツアーに参加したゲストの方が僕と同じ状態になっているのであればこれは物凄く価値があることで、ただ楽しかった、綺麗だったではなく、ツアーが終わった後も生きる活力になったり次の目標が見えてきます。

これは本物の探検体験をしたからこそ得られるものでは無いかなぁと実感しました。
ケイビングに感じる無限の可能性に惹かれていく思いです。


リーダロープワーク(実技/座学)

三日目は室内でロープワークの基礎を徹底的にやりました。またアンカーの取り方や倍リキシステム、Zリグの構築など内容は盛りだくさんです。

ノット、ヒッチ、ベントを合わせると16種類の結び方を学び、より不安定な状況下でも正しい結び方ができるように、制限時間を設定しその時間内で正しく結べるかテストを行いました。

やはり制限時間があると焦ってしまい正しく結べなかったり、できていたはずのものができなくなっり、
かなり追い込まれました。


やはり実践で使えるようになるには体に覚えさすまで何度も反復練習をするしかないのではないかと思います。

ただ結び方を覚えるだけではなく、なぜこの結び方が必要なのか?基礎の重要性、正しく結ぶドレスアップの重要性などみっちり学びました。

これから最も重要なゲストの方の安全確保やレスキュー訓練につながる内容でこれは持続的に
やっていかないといけないと思いました。

レスキューワークとファーストエイド

講習4日目は西表島の実際の洞窟でリアルレスキュー訓練を行いました。
洞窟内では様々なケースを想定して、この状況下でゲストを安全に洞窟から出すには
どうしたら良いか、少ないギア、少ない人数でより安全に素早くかつシンプルに対応するにはどうしたら良いのかなど、皆で考え答え合わせをしていきます。

やはり現場で室内でできた結びも実際の洞窟では体が覚えていないと全く何もできませんでした。
なぜ基礎知識や基本的な結び方を正確に覚える必要があるのか、実際の現場で体感することによって
よりリアルに実感することができました。
1ミスで重大な事故を引き起こしかねないレスキューワークでは本当に重要になってくることだと思います。


またファーストエイドの意味や管理、実際に必要な物など細かく丁寧に教わることができました。

本来あってはならない状況下ではありますが本番さながらの緊張感で皆で訓練をすることができたのは
かけがえの無い財産になりそうです。

万が一な状況が起きてしまっても対応できるスキルや経験、また大変さを分かっていることで、事故を起こさせないための一番大切なリスクマネジメントに繋がり、実際にゲストを連れてのツアーの時の心のあり方も変わってくるのでは無いかと思います。
全ては絶対的な安心、安全なツアーを行うために日々心掛けていきたいと思います。

SRTベーシック

講習5日目はいよいよSRT(シングルロープテクニック)の講習を行いました。
まずはハーネスにギアのセッティングから始め、ギアが多いのでセッティングだけでも覚えるのが大変でした。

始めはロープを登っておりる(ユマーリング)を繰り返しました。下降時に僕はディセンダーを上手くセットすることができずかなり焦りました。

次に誰の手も借りず上り下りをできるようになったら次はさらに難しいノット通過をやりました。
ロープにつられた状態で時間が経つとどんどん冷静な判断ができなくなってきて焦ります。

リアルの現場では1ミスが死に繋がるので確実に覚えるまで何度も練習しました。



最後はリビレイ通過、、ディベーション通過、登り60M(ハツカネズミ)に挑戦しましたが結果は全然でした。

なんとか課題のところまではクリア出来たのでよかったです。

竪穴などより高度な技術が必要な洞窟に行くにはこのSRT(シングルロープテクニック)
の技術は必須なので、自分の探検活動の幅を広げて行くために、今後も継続して覚えていきたい技術です。

このSRTの講習を受けられるのは国内でも数が少ないみたいなので、これを八重山で受けられるのは感謝で
しかありません。

まずは道具を揃えるところから頑張っていきたいと思います。

検定

いよいよ講習最終日は検定の日です。検定内容は当日まで秘密で検定会場は僕も初めて行く西表島
の洞窟でした。

検定会という緊張感と初めて行く洞窟へのワクワク感、大人になってなかなか味わうことのない感覚でした。

検定会場は知る人ぞ知るBat End Cave 狭い入り口の竪穴をSRT(シングルロープテクニック)で降っていきます。

室内で出来たことを、狭い洞窟の超不安定な環境下(極度の緊張状態)で一定の実力を出せるかどうか
試されます。

僕は少しセッティングに手間取りましたがなんとか無事降りることができました。

洞窟の奥ではここでは言えない超貴重な物も見ることができました。そこで初めてこの洞窟の
名前の由来がわかります。


記念撮影も終わり気持ちは完全にゲストの気分になっていましたが、ここで終わらないのが
八重山ケイビング協会の凄いところでなんと洞窟内で人生初のペーパーテストが行われました。


「洞窟ガイドは常にエンターテイナーであれ」まさに最後の最後までドキドキワクワクさせられっぱなしでした。

ペーパーテストもなんとか合格点で無事八重山ケイビング協会の認定ガイドになることができました。

本当に良かったです。

講習会を終えて

去年から少しづつ洞窟ツアーをするようになってやりながら抱えていた不安やモヤモヤがこの講習会に
行くことによってよりクリアーになって解消されました。

大人になってここまでの緊張感や実際の現場で何もできずに丸裸にされる感覚はなかなか
体験できるものではありません。(知ってる)ではなくて(できる)の大切さを多く学び、
今までの知識や経験が全く通用しない状況に立ってこそ自分の今の本当の現在地を知ることができます。
現在地を知ることによってようやく自分の目標への距離が分かりそこに向かって努力することが
できるのでは無いでしょうか。

(知っている)だけではまだスタートラインにすら立っていなかったことに愕然としましたが、
僕もようやく新たな探検の入り口(探検の先)に立てた気がします。

講習会参加にあたって、今の経済事情を考えると決して安くはない金額ですが、講師の中川さんが
何年も何年も時間やお金を費やし培った知識、経験、技術を短期間で惜しみなく教えて頂き、
講習の最初から最後までエンターテイナーとしても適度な緊張感、
ワクワク感を与え続けてくれました。

それを考えると本当に安すぎるくらいの内容で超お得な講習では無いかと思います。
講師の中川さん、そして講習に参加させてくれた家族に感謝でいっぱいです。

最後になりますが、新たなことに挑戦する時は、勇気もいるし、上手くいかないことは当たり前で
恥ずかしいこともたくさんあるかもしれません。でも横を見ると同じように同じようなところでつまづき
歯を食いしばっている仲間が出来ます。

今回の一番の財産は共に学び試練を乗り越えてきた仲間が出来たことかもしれません。

また皆で訓練や新たな探検をする日を楽しみにしております。

それではまた!!